第4部 届ける · 第11回 / 全12回 · 10分くらい
測って、続ける。数えるものを1つに絞る
出して、届け始めたら、うまくいっているかを確かめたくなります。ところが、測れるものはたくさんあり、全部を追うと疲れて続きません。この回では、今の段に合った数えるものを1つに絞り、週に1回だけ見る形にします。追跡の仕組みに頼らない測り方も考えます。
履修 0 / 12 回
この回を読み終えると、できるようになること
- 目安になる数字と、見た目だけの数字の違いを説明できる
- 出し方の段ごとに、数える1つを選べる
- 追跡の仕組みを使わずに、自分の手元のデータで測る方法を挙げられる
専門用語は、初めて出たところで括弧に短い説明を付けています。説明が長くなるものには ※番号を付け、ページの終わりの用語メモにまとめました。
1見た目だけの数字と、次の行動につながる数字
「いいね」の数、表示された回数、フォロワーの数は、増えると嬉しい数字です。ただ、それが増えても、次に何をすればいいかは教えてくれないことが多いです。こうした数字は、見た目だけの数字(vanity metrics※1)と呼ばれます。
次の行動につながる数字は、たとえば「お便りに登録した人の数」「アプリを入れて、1週間後も使っている人の数」「問い合わせの数」です。こちらは、増えた・減ったときに、何がよくて何が悪かったのかを考える材料になります。
2段ごとに、数える1つを決める
| 今の段 | 数える1つ | 理由 |
|---|---|---|
| まだ出していない | 出した数(1か月に何回出したか) | まず出すことに慣れる段だから |
| 段1〜2(身近な人・記事) | 最初の1人から聞けた具体的な困りごと | 何を作ればいいかを決める材料だから |
| 段3(誰でも手に入る) | 使い始めて1週間後も使っている人 | 入れただけの人と、使っている人は違うから |
| 段4〜5(ストア・販売) | 払ってくれた人と、使い続けている人 | 続けて支えられるかを決めるから |
1つに絞るのは、ほかの数字を捨てるためではなく、迷ったときに見る1つを決めるためです。
3追跡の仕組みに頼らない測り方
使い方を細かく送る仕組みを入れなくても、手元で数えられるものはたくさんあります。
- 入れた数:GitHub の Releases に置いたファイルは、ダウンロードされた回数が API(プログラムから情報を取り出す窓口)で取り出せる
- お便りの登録者数:お便りの配信の仕組みが数えている
- 記事の読まれ方:note などの場所が、それぞれの管理画面で見せてくれる
- 声の数:問い合わせや報告の数は、自分の受信箱で数えられる
どれも、使う人の行動を外に送らずに数えられます。自分のサイトは外部の追跡の仕組みを入れない方針なので、自分もこうした手元の数字で見ています。
4週に1回、15分だけ見る
数字を毎日見ると、日ごとのゆれに一喜一憂して疲れます。週に1回、決まった曜日に、15分だけ見ます。
見るときは、次の3つを短く書き残します。
- 今週の数字(数える1つ)
- 先週と比べて、増えたか減ったか、その理由の見当
- 来週、1つだけ変えてみること
「1つだけ変える」のは、AIエンジニアリング講座で扱った対照実験と同じ考え方です。一度にいくつも変えると、何が効いたのかがわかりません。
5数字が動かない時期を、どう過ごすか
始めたばかりのころは、数字はほとんど動きません。フォロワーが数人、ダウンロードが数回、という時期が長く続くことは珍しくありません。
この時期に数字だけを見ていると、やめたくなります。だから最初のうちは、自分で決められる数字(出した数、書いた数)を数える1つにしておくのがおすすめです。届く数は自分では決められませんが、出す数は自分で決められます。出す数が積み上がっていれば、届く数はあとからついてくる、と考えて続けます。
誤解よくある思い違い
フォロワーが増えれば、うまくいっている
フォロワーの数は、次の行動を教えてくれないことが多い数字です。登録・利用の継続・声の数のような、行動につながる数字を見ます。
詳しく測るには、使い方を記録する仕組みが必要
ダウンロード数、登録者数、問い合わせの数など、手元で数えられるものはたくさんあります。追跡の仕組みに頼らなくても、判断の材料はそろいます。
演習手を動かして確かめる
演習1
アプリを GitHub に置いて2週間がたちました。ダウンロードは30回、Issues への書き込みは0件、X での紹介の投稿には「いいね」が12件です。次の1週間で、何を1つ変えてみますか。数える1つと合わせて答えてください。
答えを見る
例:数える1つは「使い始めて1週間後も使っている人」ですが、今は測る手段がありません。そこで、アプリの中に「感想・不具合を送る」を足す(1回の操作でメールの下書きが開く)を1つだけ変えてみます。Issues が0件なのは、GitHub に慣れていない人には書き込みにくいからかもしれません。
「いいね」の12件は嬉しいですが、次の行動を決める材料にはしません。
頼み方そのまま使える頼み方の例
自分の今の段に合った「数える1つ」と、週に1回の見方を一緒に決めてください。
1. 今の段(まだ出していない/段1〜5)
2. 数える1つと、その数え方(追跡の仕組みを使わない方法で)
3. 週に1回見るときに書き残す3つの項目のひな形
4. 数字が動かない時期に、代わりに数える「自分で決められる数字」
今の状況:(出しているもの、発信している場所、今わかっている数字) 用語メモ本文の ※番号の説明
- ※1vanity metrics(見た目だけの数字) 増えると良く見えるが、次に何をすればいいかの判断には役立たない数字。表示回数、いいねの数、累計の登録者数などが例に挙げられることが多い。 本文へ戻る ↩