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もと @moto_ai_jp

第1部 なぜ深く知るのか · 第2回 / 全20回 · 15分くらい

5つの段を「どこで歯止めをかけるか」で読み直す

入門編では、5つの段を「壁を壊す道具」として見ました。実践編では、同じ5段を「AIの動きに、どこで歯止めをかけるか」という設計の選び方として見直します。選び方の物差しは、その失敗を何回まで許せるか、です。

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この回を読み終えると、できるようになること

  1. 5つの段を「ことば・ファイル・検査・時間・構造」という歯止めの場所で言い分けられる
  2. 「たぶん守られる歯止め」と「必ず守られる歯止め」の違いを、例を挙げて説明できる
  3. 自分のルールを1つ選び、どの段で歯止めをかけるべきかを理由つきで決められる

専門用語は、初めて出たところで括弧に短い説明を付けています。説明が長くなるものには ※番号を付け、ページの終わりの用語メモにまとめました。

1歯止めをかける場所は5つある

段歯止めの場所Claude Code での例
第1 プロンプトことば(指示の中)その場の指示
第2 コンテキストファイル(毎回読ませる)CLAUDE.md、スキル
第3 ハーネス検査(コードで確かめる)フック、テスト、権限の設定
第4 ループ時間(いつ・何回動くか)launchd、cron、定期タスク
第5 グラフ構造(誰が何を見てよいか)サブエージェント、道具の絞り込み

表の上の2つと下の3つでは、歯止めの効き方がまったく違います。

1 プロンプト指示の書き方2 コンテキスト前提をファイルに3 ハーネス自分で確かめる4 ループくり返す5 グラフ判断を構造にいま2026年上に行くほど、扱える仕事は複雑に。同時に、作る手間も増える→ 全部のぼる必要はない
上の段がえらいのではなく、複雑になるだけです。自分に必要な段で止まって大丈夫です。

2「たぶん守られる」と「必ず守られる」

ことばとファイルは、AIが読んで、そのとおりに動こうとする歯止めです。ほとんどの場合は守られますが、文脈が長くなったとき、別の指示とぶつかったときには破られることがあります。確率で効く歯止めです。

検査・時間・構造は、AIの判断を通りません。フックで止めたコマンドは、AIがどう考えても実行されません。道具を渡していないサブエージェントは、その道具を使えません。こちらは必ず効く歯止めです。

この講座の考え方の中心は、次の1行です。絶対に起きてはいけないことを、ことばだけで止めようとしない。

3Anthropic の言う「ワークフロー」と「エージェント」

Anthropic の記事「Building effective agents」では、AIを使った仕組みを2つに分けています。決められたコードの道筋にそってAIと道具を動かすのがワークフロー、AIが自分で手順や道具の使い方を決めて進めるのがエージェント※1です。

この区別は、歯止めの場所の話と重なります。ワークフローは、流れそのものをコード(構造)で決めています。エージェントは、流れをAIの判断(ことば)に任せています。同じ記事は「できるだけ単純な方法から始め、必要になったときだけ複雑にする」ことを勧めています。

4上の段ほど、3つの費用が増える

上の段に行くほど、次の3つが増えます。

  1. 作る手間:フックやスクリプトを書き、試す時間
  2. 動かす費用:トークン※2の量と待ち時間
  3. 壊れたときの広がり:1回の会話の失敗はその場で終わりますが、定時実行の失敗は、気づくまで毎日積み重なります

見落としやすいのは3つ目です。歯止めを強くするために上の段の仕組みを足すと、その仕組み自体が新しい壊れる場所になります。

5物差しは「何回まで許せるか」

どの段で歯止めをかけるかに迷ったら、その失敗を何回まで許せるかを考えます。

  • 1回でも困る(データが消える、外に送られる、お金が動く):必ず効く歯止め。フック、権限の設定、構造で止める
  • たまになら困らない(文体が少しずれる、見出しの形が違う):たぶん効く歯止めで十分。指示か CLAUDE.md に書く

そのうえで、いちばん安い段から試すのが順番です。指示を1行足して直るなら、フックは要りません。下の段で直らないことを確かめてから、上の段を足します。

誤解よくある思い違い

CLAUDE.md に「絶対に」と強く書けば、必ず守られる

強く書いても、ことばの歯止めは確率で効くままです。必ず止めたいことは、フックや権限の設定に移します。

上の段のほうが、新しくて優れている

上の段ほど複雑で、費用も壊れる場所も増えます。必要な段で止めるのが、いちばん安くて壊れにくい選び方です。

演習手を動かして確かめる

演習1

次のルールを、どの段で歯止めをかけるべきか考えてください。

  1. 記事は です・ます調で書く
  2. 本番のデータベースを消すコマンドを実行しない
  3. 毎朝7時に予定をまとめる
  4. 調べ物をする係には、ファイルを書き換えさせない
答えを見る
  1. ファイル(CLAUDE.md)。たまにずれても困らず、直せばすむ
  2. 検査(フックか権限の deny)。1回でも困るので、ことばでは止めない
  3. 時間(launchd などの定時実行)
  4. 構造(サブエージェントに書き換えの道具を渡さない)

2を CLAUDE.md だけで止めていたら、今日中に検査の段へ移す候補です。

頼み方そのまま使える頼み方の例

次のルールの一覧を読み、それぞれ「ことば・ファイル・検査・時間・構造」のどこで歯止めをかけるのがよいかを表にしてください。
- 破られたら元に戻せないルールには印を付ける
- 印を付けたルールが、いま ことば か ファイル だけで止められていたら、検査か構造に移す案を書く
まだ設定は変えず、表を出したら止まってください。

ルールの一覧:(CLAUDE.md の中身などを貼る)

「5世代」は業界の公式な区分ではなく、学ぶための整理のしかたです。この講座でも、呼び名より「どこで歯止めをかけているか」に目を向けてください。

用語メモ本文の ※番号の説明

  1. ※1エージェント AIが目標に向けて、自分で次の手順を考え、道具(ファイルの読み書き、コマンドの実行、検索など)を使いながら作業を進める仕組み。Claude Code は、手元のパソコンで動くエージェントの1つ。 本文へ戻る ↩
  2. ※2トークン AIが文章を扱うときの最小単位。単語や文字の断片で、日本語ではおおむね1〜2文字が1トークンになる。料金も、一度に読める量も、トークンの数で決まる。 本文へ戻る ↩

出典確かめた資料(2026年10月時点)

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