第7部 グラフのあと(2026年のいま) · 第19回 / 全20回 · 15分くらい
設計する人に残る仕事。仕様・合格・元に戻せないことの責任
仕組みの多くをAIに任せられるようになっても、設計する人の仕事はなくなりません。むしろ、何が人の仕事として残るのかが、はっきりしてきます。この回では、その3つと、新しい機能や名前との付き合い方を考えます。
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この回を読み終えると、できるようになること
- 設計する人に残る3つの仕事を、これまでの回と結びつけて説明できる
- 新しい機能や名前を、3つの質問で整理できる
- 乗りかえるかどうかを、印象ではなく評価セットで決められる
1残る仕事1:仕様を書く
AIが手順を自分で組めるようになるほど、「何のために、何を、どこまで」を書く力が効いてきます。第3回の「迷わせない仕様書」は、長く働くAIや動的ワークフローの時代に、いちばん効き目の大きい技術になっていると感じています。
手順はAIが考えてくれます。でも、終わりの条件、触らせない場所、守ってほしい理由は、人が書かない限り、どこにもありません。
2残る仕事2:合格を決める
何をもって完成とするか、どの検査を通れば外に出してよいか。評価セットの中身は、その仕事で何を大事にしているかそのものです。
AIに採点させることはできても、採点の基準を決めることは、AIには任せられません。基準を決めることは、「この仕事で何を良しとするか」を決めることだからです。
3残る仕事3:元に戻せないことの責任を持つ
データを消す、外に送る、お金が動く。元に戻せない操作の最後の判断は、人に残します。仕組みの中に、人の確認を挟む場所を最初から設計しておきます(第13回の「たくさん消す処理は自動では消さない」、第18回の「送る直前に人の確認」)。
自分は、データが消えるおそれのある操作は、何が・何件・元に戻せるかを示し、控えを取る方法を添えてから確認する、という決まりにしています。
4新しい機能や名前は、3つの質問で整理する
新しい機能や呼び名は、これからも次々に出てきます。そのたびに追いかけると疲れます。自分は次の3つで整理するようにしています。
- どの壁を壊すためのものか(再現しない・確かめられない・続かない/気づかないうちに壊れる・前提が古くなる・作りすぎる)
- どこで歯止めをかけるものか(ことば・ファイル・検査・時間・構造)
- 止め方と測り方はどうなっているか
この3つに答えられれば、名前が新しくても、講座のどの段の話なのかがわかります。答えられないなら、まだ自分の仕事には入れない、という判断もできます。
5乗りかえは、印象ではなく測って決める
「新しいほうが良さそう」は、たいてい印象です。第10回の評価セットで、今の仕組みと並べて測ってから乗りかえます。
測ってみて差がなければ、乗りかえないのも立派な判断です。乗りかえには、作り直す手間、慣れるまでの失敗、新しい壊れる場所がついてきます。差がないなら、その費用を払う理由がありません。
誤解よくある思い違い
AIが何でもできるようになれば、設計する人は要らなくなる
手順はAIに任せられても、仕様・合格の基準・元に戻せないことの判断は、人が決めないとどこにもありません。
新しい機能は、早く取り入れたほうが得
乗りかえには手間と新しい壊れる場所がついてきます。今の仕組みと並べて測り、差があるときだけ乗りかえます。
演習手を動かして確かめる
演習1
最近知った新しい機能を1つ選び、3つの質問(どの壁か・どこで歯止めをかけるか・止め方と測り方)で整理してください。
答えを見る
答えは機能によって違います。たとえば「スキル」なら、①前提が古くなる・長すぎる(第2世代の壁)、②ファイル(必要なときだけ読む)、③止め方は無効にする・誰が呼ぶかを決める、測り方は呼ばれた回数と、呼ばれたときの成功率、となります。3つ目が答えられない機能は、まだ自分の仕事に入れないほうが安全です。
頼み方そのまま使える頼み方の例
最近見かけたAIの新しい機能(または呼び名)について、次の点で整理してください。
1. どの壁を壊すためのものか
2. ことば・ファイル・検査・時間・構造の、どこで歯止めをかけるものか
3. 止め方・上限・人の確認はどうなっているか
4. 今の自分の仕組みと比べるなら、何を評価セットにすればよいか
事実と推測を分けて書いてください。
機能・呼び名:(ここに書く)